創志学園法人本部:未来の学校2024Spring特別対談
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戦後、焼け野原での想いを引き継ぎ教育への道を選ぶ国立博物館のブランド力をあげることは、日本や東京のブランド力につながる忘れられず、お父様の意思を引き継いで文部省に入職されたと。そして、フランス駐在で芸術に触れた後、文科省で幅広い業務に携わり、教育行政のトップにまでなられた。今日、館内をご案内頂きながら、これまでの道がお父様の想いからはじまり、すべて今の役割へとつながる壮大なストーリーのように感じました。藤原 文科省から出向して、フランス日本国大使館に駐在していた時は、ユネスコの担当でした。増田 当時はフランスやヨーロッパの美術館にも行かれましたか?藤原 もちろんです。パリにはルーブル美術館やオランジュリー美術館など、たくさんの美術館や博物館がありますからね。増田 そうした経験が、いまの博物館運営にも活かされているのでしょうね。増田 藤原館長は、博物館の役割についてどのようにお考えですか?藤原 博物館の使命は、文化財を収集してきちんと修理・保存し、未来に残していくこと。そして、貴重な文化財である所蔵品を世界中の人々に公開することです。日本の文化財は紙や布が多く経年劣化しやすいため、きちんと管理しないと風化してしまう。だから、修理や保存環境を整えることがとても重要なんですが、光熱費の高騰で予算確保が厳しい状況が続いています。増田 そうした現状を訴えて、「日本の文化財を守る」という使命を担う博物館の重要性を積極的にアピールしていらっしゃる。文藝春秋に寄稿した、「文化財の持つ普遍的価値と後世に継ぐ重要性」を増田 息子と2人で伺ったメキシコ文明の企画展の際は沢山の人で賑わっていましたが、休館日の博物館は静寂で神秘的な雰囲気ですね。先日、藤原館長がIPUで講義くださった際、学生たちに文科省へ入省されたきっかけを話していただきました。館長のお父様が教員養成系大学の研究者をされていて、なぜその職業を選んだか聞くと、「戦後、日本の焼け野原に立った時、人を育成しないと日本の復興はない、人づくりをしたいと思った」と言われ、その言葉がSOSHI EDUCATIONAL GROUP 東京国立博物館 館長 藤原 誠 氏Makoto Fujiwara1957年 東京都生まれ。1982年 東京大学法学部卒業、文部省入省。文部科学省大臣官房長、初等中等教育局長を歴任の後、2018年に文部科学事務次官。2022年6月より東京国立博物館長。04

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